会社を退職すると、それまで会社で入っていた健康保険から抜けることになります。次の選択肢が「任意継続」と「国民健康保険」で、「どっちが安いのか」で多くの人が迷います。
この記事では、2つの違いとどっちが得かを、保険料の決まり方・扶養家族の有無・退職理由別に整理します。あわせて2年での切替戦略、手続きと必要書類、「会社にバレる?」「1年でやめられる?」といった疑問にも答えます。
📌 この記事でわかること
- 退職後の健康保険3つの選択肢
- 任意継続と国保の保険料の決まり方の違い
- どっちが安いかを見分ける4つの判断軸
- 2年での切替戦略(1年目は任意継続→2年目は国保)
- 手続きと必要書類・よくある疑問
退職後の健康保険は3つの選択肢
退職後、再就職してすぐ次の会社の健康保険に入る場合を除くと、選択肢は主に3つです。
- 任意継続:退職前の健康保険を、最長2年間そのまま継続する。
- 国民健康保険(国保):お住まいの市区町村が運営する保険に加入する。
- 家族の扶養に入る:配偶者など家族の社会保険の扶養に入る(収入要件あり)。
収入が少なく家族の扶養に入れるなら、保険料がかからない③が最も有利です。入れない場合に、①と②のどちらが安いかを比べることになります。
任意継続とは(2年・全額自己負担・上限あり)
任意継続は、退職時に入っていた健康保険(協会けんぽや健保組合)を最長2年間継続する制度です。主なポイントは次のとおりです。
- 要件:退職日まで継続して2か月以上被保険者だったこと。退職日の翌日から20日以内に申請すること。
- 保険料は全額自己負担:在職中は会社と折半でしたが、退職後は会社負担分も自分で払うため、おおむね2倍になります。
- 保険料に上限がある:退職時の標準報酬月額と、全被保険者の平均(協会けんぽは月30万円程度)のいずれか低い方で計算されます。給料が高かった人ほど、この上限の効果で割安に感じられます。
- 扶養家族分の保険料は増えない:被扶養者の制度があるため、家族が多い人ほど有利です。
2022年の改正で、好きなタイミングで脱退できるようになりました(資格喪失の申出書を出せば翌月から外れられます)。
国民健康保険とは(前年所得で計算・減免あり)
国民健康保険は、市区町村が運営する保険です。保険料の決まり方が任意継続と大きく違います。
- 前年の所得で計算:保険料は前年の所得をもとに決まります(所得割+均等割など)。料率や金額は市区町村で異なります。
- 扶養の概念がない:加入する家族の人数分だけ均等割が加算されます。家族が多いと割高になりがちです。
- 減免制度がある:倒産・解雇などの非自発的失業者は、前年の給与所得を30%とみなして計算する軽減があり、保険料が大きく下がります。
どっちが安い?4つの判断軸
「任意継続」と「国保」のどちらが安いかは、次の4点で見分けられます。
| 判断軸 | 任意継続が有利 | 国保が有利 |
|---|---|---|
| 扶養家族 | 多い(家族分が増えない) | いない・少ない |
| 前年の所得 | 高い(上限で頭打ち) | 低い(所得割が小さい) |
| 退職理由 | 自己都合 | 会社都合(軽減が使える) |
| 期間 | 退職1年目 | 所得が下がる2年目 |
ざっくりまとめると、「扶養家族が多い人は任意継続」「単身で前年所得が高め、または会社都合退職なら国保」が目安です。どちらか迷ったら、市区町村の窓口で国保の保険料を試算してもらい、任意継続の保険料(在職中の約2倍、ただし上限あり)と比べるのが確実です。在職中の保険料の感覚は社会保険料計算ツールでつかめます。
年収別の目安
前年の年収別に、単身者でのざっくりした傾向です(あくまで目安で、市区町村・健保で変わります)。
| 前年の年収(単身) | 傾向 |
|---|---|
| 200万円前後 | 国保のほうが安いことが多い |
| 300〜400万円 | 国保がやや安いことが多い |
| 600万円以上 | 任意継続の上限が効き、任意継続が安くなることも |
扶養家族が1人でもいると、国保では人数分の保険料が加算されるため、任意継続が総額で安くなるケースが増えます。
2年での切替戦略
任意継続は最長2年間ですが、2022年の改正で任意のタイミングで脱退できるようになりました。これを使った定番の戦略があります。
- 1年目は任意継続:退職直後は前年(在職中)の所得が高いため、国保だと保険料が高くなりがち。上限のある任意継続のほうが安いことが多い。
- 2年目に国保へ切替:退職して所得が下がると、前年所得で計算する国保の保険料が大きく下がります。このタイミングで国保へ切り替えると安くなるケースが多いです。
「任意継続は2年入りっぱなし」と思い込まず、2年目の保険料を国保と比べて見直すのがコツです。
手続きと必要書類
任意継続の手続きは、退職後の自分の行動が必要です。
- 退職日の翌日から20日以内に、協会けんぽ(または健保組合)へ「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出。
- 本人確認書類、扶養家族がいる場合は続柄・収入のわかる書類を添付。
- 初回保険料を期限までに納付(納め忘れると資格を失うので注意)。
国民健康保険の手続きは、退職後14日以内に市区町村の窓口で。退職日のわかる書類(離職票・資格喪失証明書など)が必要です。会社都合退職の軽減を受ける場合は、雇用保険受給資格者証も持参します。
よくある質問
任意継続は会社にバレますか?
任意継続は退職後に自分で手続きする制度で、前職や次の勤務先にその内容が伝わるものではありません。
任意継続を1年でやめることはできますか?
できます。2022年の改正で任意のタイミングで脱退できるようになりました。所得が下がる2年目に国保へ切り替える人も多いです。
再就職したらどうなりますか?
再就職して次の会社の健康保険に入ると、任意継続の資格は失われます。資格喪失の手続きをします。
結局どちらが安いか、簡単に調べる方法は?
市区町村の窓口で国保の保険料を試算してもらい、任意継続の保険料(在職中の約2倍・上限あり)と比べるのが確実です。扶養家族の有無で結論が変わるため、家族全員分で比較しましょう。