住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、マイホームをローンで購入したときに、**年末のローン残高の0.7%**が最大13年間、税金から差し引かれる制度です。節税額が大きい一方で、「いくら戻るのか」「思ったより還付金が少ないのはなぜか」がわかりにくい制度でもあります。

この記事では、住宅ローン控除でいくら戻るかを、計算式と3つの上限、年収別の目安で整理します。あわせて「還付金が少なすぎる」と感じる理由、初年度の確定申告と必要書類、2年目以降の年末調整までまとめます。

📌 この記事でわかること

  • 住宅ローン控除の仕組み(年末残高 × 0.7%・最大13年)
  • いくら戻るかを決める「3つの上限」
  • 年収別・残高別の戻る額の目安
  • 「還付金が少なすぎる」と感じる理由
  • 初年度の確定申告と必要書類・2年目以降の年末調整

戻る額は、あなたが納めている所得税・住民税で決まります。年収から所得税・住民税の目安を確認するには、手取り計算ツールが便利です。本文の年収別の試算も、同じ令和8年分の計算を使っています。

住宅ローン控除とは(0.7%・最大13年)

住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高に応じて、所得税(引ききれない分は住民税)が軽くなる制度です。基本の計算はとてもシンプルです。

年間の控除額 = 年末の住宅ローン残高 × 0.7%

控除を受けられる期間は、令和8年以降に入居する場合、新築・買取再販・中古のいずれも省エネ基準適合以上の住宅は13年間です。省エネ基準を満たさない中古(その他の住宅)は10年間で、令和7年までは中古の控除期間が一律10年だったため、ここは令和8年から変わった点です(国税庁 No.1211-1・1211-3)。

たとえば年末残高が3,000万円なら、残高×0.7%は 3,000万 × 0.7% = 21万円です。ただし、実際の控除額は住宅の区分ごとの借入限度額で頭打ちになります(たとえば令和8年入居の省エネ基準適合住宅は、一般世帯で2,000万円までなので14万円です)。

さらに、この金額がそのまま全額戻るとは限りません。次の3つの上限のうち、いちばん小さい金額が実際に戻る額になります。

いくら戻る?3つの上限と計算式

実際に戻ってくる金額は、以下の3つのうち最も少ない金額です。ここを理解すると「思ったより少ない」が腑に落ちます。

  1. 年末残高 × 0.7%
  2. 住宅の性能で決まる「年間最大控除額」(=借入限度額 × 0.7%)
  3. その年に納めた所得税 + 住民税からの控除分(住民税は課税所得の5%・最大97,500円まで)

②の「年間最大控除額」は、購入した住宅の省エネ性能と入居年で変わります。令和8年・令和9年に入居する新築・買取再販の場合は次のとおりです(国税庁 No.1211-1・1211-2)。

住宅の種類借入限度額(一般)年間最大控除額借入限度額(子育て世帯等)年間最大控除額
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅4,500万円31.5万円5,000万円35万円
ZEH水準省エネ住宅3,500万円24.5万円4,500万円31.5万円
省エネ基準適合住宅2,000万円14万円3,000万円21万円
その他(省エネ基準を満たさない新築)原則対象外———

「子育て世帯等」は、国税庁の用語では特例対象個人です。居住年の12月31日時点で、40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、または19歳未満の扶養親族がいる人が当てはまります。

令和7年以前に入居した人・今後の変更点

  • 令和6年・令和7年に入居した新築の省エネ基準適合住宅は、借入限度額3,000万円(年間最大21万円)、子育て世帯等は4,000万円(同28万円)です。令和8年入居からは、この区分の限度額が2,000万円に下がっています。
  • 令和10年以降に入居する新築の省エネ基準適合住宅は、原則として対象外(限度額0円)になります。ただし、令和9年12月31日までに建築確認を受けたもの、または令和10年6月30日までに建築されたものは、限度額2,000万円で10年間の控除を受けられます。
  • 省エネ基準を満たさない新築(その他の住宅)は、令和5年12月31日までに建築確認を受けたもの、または令和6年6月30日までに建築されたものに限り、限度額2,000万円(年間14万円)で10年間の控除を受けられます。

中古住宅(買取再販ではない既存住宅)の場合は、令和8年以降の入居なら次のとおりです(国税庁 No.1211-3)。

住宅の種類控除期間借入限度額(一般)借入限度額(子育て世帯等)
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅13年3,500万円(年間最大24.5万円)4,500万円(同31.5万円)
省エネ基準適合住宅13年2,000万円(年間最大14万円)3,000万円(同21万円)
その他の住宅10年2,000万円(年間最大14万円)上乗せなし

例:年末残高3,000万円で、令和8年に省エネ基準適合住宅(一般世帯・新築)に入居した場合。①残高×0.7%は21万円ですが、②借入限度額2,000万円ぶんの14万円で頭打ちになります。③納めた税金が十分にあっても、1年に軽くなるのは最大14万円です。同じ残高3,000万円でも、認定長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅なら借入限度額に収まるため、21万円まで使えます。

年収別・残高別の早見表(目安)

戻る額は「納めている税金」が天井になるため、年収によって上限が変わります。控除はまず所得税から差し引かれ、引ききれなかった分が翌年度の住民税から差し引かれます。住民税から引ける額には上限があり、所得税の課税所得(課税総所得金額等)の5%、最高97,500円です(いずれも荒川区の案内より)。

年末残高3,000万円のケースで、当サイトの手取り計算と同じ前提(令和8年分・独身・給与収入のみ・東京都・30歳・社会保険料控除のみ)で試算すると次のとおりです。

年収所得税(復興特別所得税を除く)住民税から控除できる上限認定住宅・ZEH水準(21万円)の場合省エネ基準適合(14万円)の場合
300万円26,250円26,250円約52,500円約52,500円
400万円56,250円56,250円約112,500円約112,500円
500万円90,100円90,100円約180,200円140,000円(満額)
600万円147,000円97,500円210,000円(満額)140,000円(満額)
800万円427,300円97,500円210,000円(満額)140,000円(満額)

最後の2列は、住宅の区分ごとの上限(21万円または14万円)と、所得税+住民税から引ける額を比べて小さいほうです。この前提では、認定住宅・ZEH水準で年収およそ550万円以上、省エネ基準適合で年収およそ440万円以上になると、満額を使い切れます。

年収が低いほど「納めた税金」が天井になり、年収が高いほど「借入限度額で決まる上限」が天井になる、という関係です。たとえば年収400万円の人は、残高が3,000万円あっても、認定住宅で控除額が21万円あるのに実際に軽くなるのは約11.3万円です。

※試算は復興特別所得税を除いた所得税額で計算しています。実際の額は、生命保険料控除・扶養控除・ふるさと納税などの有無や、お住まいの自治体、復興特別所得税の扱いによって前後します。自分の所得税・住民税のベースは手取り計算ツールで確認できます。

「還付金が少なすぎる」のはなぜ?

「21万円戻ると思ったのに8万円しかなかった」というケースはよくあります。主な原因は次の3つです。

  • ローン残高が少ない:繰り上げ返済などで残高が減ると、残高×0.7%も小さくなります。
  • 納めた所得税が少ない:控除は「払った税金から差し引く」仕組み。もともと払っていない税金は戻りません。所得税で引ききれない分は住民税に回りますが、住民税の控除も最大97,500円(課税所得の5%まで)で頭打ちです。上の試算では、年収400万円・認定住宅で控除額21万円のうち、実際に使えるのは約11.3万円でした。
  • 借入限度額で頭打ちになっている:残高が3,000万円でも、省エネ基準適合住宅(令和8年・一般世帯)は限度額2,000万円ぶんの14万円までです。
  • 補助金や贈与特例を使った:国税庁によると、控除の計算に使う年末残高は、住宅の取得対価が残高より少ないときはその取得対価になります。取得対価からは、国や自治体の補助金、住宅取得等資金の贈与の特例(贈与税の非課税など)を使った額が差し引かれるため、これらを使うと対象残高が小さくなります。
  • ペアローンで一方の所得が低い:夫婦それぞれの納税額が上限になるため、所得が低いほうは戻りが小さくなります。

もう一つ見落としやすいのが、確定申告で振り込まれる還付金は所得税の分だけという点です。住民税から引かれる分は、翌年度の住民税が安くなる形で反映されるため、口座に入るお金には含まれません。たとえば年収500万円・認定住宅の試算では、軽くなる約18万円のうち、確定申告で戻るのは所得税の約9.0万円で、残り約9.0万円は翌年度の住民税の減額です。

つまり住宅ローン控除は「最大◯万円」よりも、「自分が実際に納めている税金がいくらか」で決まります。なお、給与の源泉徴収票で所得税が0円の人は、申告しても所得税は還付されません(国税庁 No.2030「還付申告」)。

対象になる住宅・主な適用条件

住宅ローン控除を受けるには、主に次の条件を満たす必要があります(国税庁 No.1211-1、令和8年4月1日現在)。

  • 合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 床面積が50㎡以上で、その2分の1以上を専ら自分の居住に使っていること。40㎡以上50㎡未満は、合計所得金額が1,000万円以下で、かつ建築確認が令和5年12月31日以前の住宅、または省エネ基準適合以上の住宅に限られます
  • 取得・新築・増改築から6か月以内に入居し、その年の12月31日まで引き続き住んでいること
  • 住宅ローンが10年以上にわたって分割返済する方法になっていること
  • 新築は省エネ基準を満たすこと(満たさない新築は、先に述べた建築確認や建築時期の経過措置を除き対象外)
  • 生計を一にする親族や特別な関係のある人からの取得、または贈与による取得でないこと
  • 借入先が金融機関や住宅金融支援機構などであること。勤務先からの借入は、無利子または利率0.2%未満だと対象外で、親族や知人からの借入はすべて対象外です

手続き(初年度は確定申告・2年目以降は年末調整)

住宅ローン控除は、1年目と2年目以降で手続きが違います。

1年目:確定申告が必要

会社員でも、初年度は自分で確定申告(または還付申告)をします。還付になる申告は、入居した翌年の1月1日から5年間提出できます(例年の確定申告期間は2月16日〜3月15日)。申告後、所得税の還付金が指定口座に振り込まれます。主な必要書類は次のとおりです(国税庁 No.1211-1)。

  • 確定申告書
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅ローンの年末残高証明書(正式には「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」。金融機関から届く)
  • 家屋の登記事項証明書など、床面積を明らかにする書類
  • 売買契約書・工事請負契約書の写しなど、家屋の取得対価を明らかにする書類(土地のローンも控除する場合は、土地の登記事項証明書・売買契約書の写しも)
  • 省エネ性能の証明書:ZEH水準・省エネ基準適合住宅は、住宅省エネルギー性能証明書、または建設住宅性能評価書の写し。令和8年1月1日以降に入居した省エネ基準適合住宅(新築)は、一定の要件を満たす検査済証の写しでも可です。認定住宅は、認定通知書の写しなどが必要です
  • 補助金の交付や住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合は、その額がわかる書類
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)、源泉徴収票(申告書の作成時に必要)

調書方式に対応した金融機関から借り入れ、適用申請書を提出している場合は、一部の提出書類が異なります。

初年度にうっかり会社の年末調整だけで済ませてしまっても、初年度は年末調整では適用できません。**確定申告(還付申告)**で取り戻せます。

2年目以降:年末調整で完結

2年目からは、税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関の年末残高証明書を会社に提出すれば、年末調整で控除を受けられます。確定申告は不要です。年末調整でいくら戻るかは、年末調整の還付金計算ツールに控除額を入れて試算できます。

出典・参考

この記事の控除率・借入限度額・控除期間・適用要件・必要書類・手続きは、2026年10月に国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)で再確認しました。借入限度額の表は、国税庁ページ内の表(画像)の数値に基づいています。住民税の控除の上限は自治体の案内によるもので、令和8年以降に入居する場合の扱いは、お住まいの市区町村にご確認ください。年収別の金額は当サイトの概算です。

よくある質問

年収500万円だと住宅ローン控除でいくら戻りますか?

当サイトの令和8年分の試算(独身・給与収入のみ・社会保険料控除のみ)では、年収500万円の所得税は約9.0万円、住民税から引ける上限も約9.0万円です。年末残高3,000万円の認定住宅・ZEH水準なら、控除額は21万円ありますが、実際に軽くなるのは約18万円(確定申告で戻る所得税が約9.0万円、翌年度の住民税の減額が約9.0万円)です。省エネ基準適合住宅(令和8年・一般世帯)は上限が14万円なので、14万円が満額になります。

還付金が思ったより少ないのはなぜですか?

控除は「納めた税金」が上限だからです。ローン残高が少ない、所得税が少ない、ペアローンで所得が低い、などが重なると戻りは小さくなります。

住宅ローン控除は何年間受けられますか?

令和8年以降に入居する場合、新築・買取再販・中古のいずれも、省エネ基準適合以上の住宅は13年間です。省エネ基準を満たさない中古(その他の住宅)は10年間です。令和7年までの入居では中古は一律10年でした。

令和8年に入居すると、令和7年までと何が変わりますか?

新築の省エネ基準適合住宅は、借入限度額が3,000万円から2,000万円(年間最大21万円から14万円)に下がりました。一方、中古住宅は省エネ基準適合以上なら控除期間が10年から13年に延び、借入限度額も3,000万円(令和7年入居まで)から、認定住宅・ZEH水準で3,500万円、省エネ基準適合で2,000万円という区分別の設定に変わっています。認定住宅・ZEH水準の限度額は令和6年入居分から変わっていません。

控除期間が終わるとどうなりますか?

控除がなくなるぶん、手取りベースでの負担感は増えます。控除終了のタイミングに合わせて繰り上げ返済や家計の見直しを検討するとよいでしょう。マイホームの維持費は固定資産税の計算ツールもあわせて確認しておくと安心です。